ねぇねぇ←うぜぇ

黄昏色の詠使いV アマデウスの詩、謳え敗者の王細音 啓


アマデウスの詩、謳え敗者の王―黄昏色の詠使い〈3〉 (富士見ファンタジア文庫)アマデウスの詩、謳え敗者の王(富士見ファンタジア文庫)
細音 啓

富士見書房 2007-07
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おすすめ平均

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独断による5段階評価。
優しさ:★★★★★
友情:★★★★★
芯の強さ:★★★☆☆
総合的なよさ:★★☆☆☆
絵師:★★★★★


・ストーリー

 トレミア・アカデミーの閉鎖。
 一般学生にとっては唐突な出来事であったが、それは学校周辺地域にある名詠式研究所とその支部、また他の学園が灰色名詠士に襲われたことによるものであった。
 その脅威を知るクルーエルネイト、そしてエイダはこの事態にどう動くのか。
 優しい詠の物語。名詠の本質が、徐々に明かされていく。

・優しさは

 バファリンは半分だけですが、このシリーズは10割、控えめにいっても9割ぐらい入ってます。
 全てが優しさです。行動理念とかストーリーとか果ては展開まで優しすぎます。
 で、そろそろその飽和状態に飽きが混じってくる。見ていてこっ恥かしくなるようなキャラクターたちに段々と付いていけなくなってきた。

 優しさは、全てをカバーするものでは無いと思うのですよ。
 命の危険を顧みず、気になる人の下へ駆けつけようとしたり、友達の意図を言葉無しに汲み取ってみたり。そんな都合のよくて力強い、信用に足るものでは無いんですね。
 まぁ言っちゃえば、そろそろやりすぎかな、と。

・ただ

 人によってはそこがいいのかもしれません。
 どこまでも純粋。どこまでも潔白。どこまでも直進。
 自分の命とか全てをまとめて一任できる友人や恋人が、また己の信条として掲げることのできる立派な信念が、皆さんにはおありでしょうか?

 どことなーく、気持ちも優しくなれる、そして彼らが羨ましく感じるラノベなんです。

・あとは……

 流石に、ちょっと、専門用語が増えたかな……。
 かなり問題的になってきました。シリーズ3巻目ということでかなり平気で用語を投入してくるのですが、
「まさか、後罪(クライム)の触媒(カタリスト)を<讃来歌>(オラトリオ)無しで?」
 とまぁこんな感じに、別の意味で有名らしいです。半ば漫画のブリーチ状態ですね。

 正直言っちゃうと、私はここまでなら許容範囲です。
 だけれども、裏で虹色のあいつが何をやっているのか、3年前夜色と敗者が何をやっていたのかのエピソードを入れられ、あたかも『超重要な伏線ですよー』って感じに書かれますと、ね。
 たちが悪いのはそれらが現時点さっぱり意味が分からないこと。台詞も思わせぶりで段々ごちゃごちゃしてくるし、本当気持ち悪いったらありゃしない;
 加え、単語にいちいち振られるルビなんかを見ていると、作者をちょっとアレに感じます。雰囲気は重要なんですけど多すぎ。

・総合

 結構しんどくなってくる3巻目です。
 ネイトやクルーエルの根本的なところは1巻から変わらず純粋で、見ていて綺麗で微笑ましいのですが、作者本人はどうなんでしょうね。
 壮大にしようとして、中身が全然見えない虚空のハリボテを見せられている気分です。再読だけど中身忘れているからこう感じるのかしら。