・ストーリートレミア・アカデミーの閉鎖。一般学生にとっては唐突な出来事であったが、それは学校周辺地域にある名詠式研究所とその支部、また他の学園が灰色名詠士に襲われたことによるものであった。 その脅威を知るクルーエルやネイト、そしてエイダはこの事態にどう動くのか。 優しい詠の物語。名詠の本質が、徐々に明かされていく。
・優しさはバファリンは半分だけですが、このシリーズは10割、控えめにいっても9割ぐらい入ってます。全てが優しさです。行動理念とかストーリーとか果ては展開まで優しすぎます。 で、そろそろその飽和状態に飽きが混じってくる。見ていてこっ恥かしくなるようなキャラクターたちに段々と付いていけなくなってきた。 優しさは、全てをカバーするものでは無いと思うのですよ。 命の危険を顧みず、気になる人の下へ駆けつけようとしたり、友達の意図を言葉無しに汲み取ってみたり。そんな都合のよくて力強い、信用に足るものでは無いんですね。 まぁ言っちゃえば、そろそろやりすぎかな、と。
・ただ人によってはそこがいいのかもしれません。どこまでも純粋。どこまでも潔白。どこまでも直進。 自分の命とか全てをまとめて一任できる友人や恋人が、また己の信条として掲げることのできる立派な信念が、皆さんにはおありでしょうか? どことなーく、気持ちも優しくなれる、そして彼らが羨ましく感じるラノベなんです。
・あとは……流石に、ちょっと、専門用語が増えたかな……。かなり問題的になってきました。シリーズ3巻目ということでかなり平気で用語を投入してくるのですが、 「まさか、後罪(クライム)の触媒(カタリスト)を<讃来歌>(オラトリオ)無しで?」 とまぁこんな感じに、別の意味で有名らしいです。半ば漫画のブリーチ状態ですね。 正直言っちゃうと、私はここまでなら許容範囲です。 だけれども、裏で虹色のあいつが何をやっているのか、3年前夜色と敗者が何をやっていたのかのエピソードを入れられ、あたかも『超重要な伏線ですよー』って感じに書かれますと、ね。 たちが悪いのはそれらが現時点さっぱり意味が分からないこと。台詞も思わせぶりで段々ごちゃごちゃしてくるし、本当気持ち悪いったらありゃしない; 加え、単語にいちいち振られるルビなんかを見ていると、作者をちょっとアレに感じます。雰囲気は重要なんですけど多すぎ。
・総合結構しんどくなってくる3巻目です。ネイトやクルーエルの根本的なところは1巻から変わらず純粋で、見ていて綺麗で微笑ましいのですが、作者本人はどうなんでしょうね。 壮大にしようとして、中身が全然見えない虚空のハリボテを見せられている気分です。再読だけど中身忘れているからこう感じるのかしら。 |